両立支援シンポジウム/セミナー
高知 治療と仕事の両立支援セミナー
- <開催日時>
- 2019年10月30日(水)13:30 - 15:40
- <場所>
- ちより街テラス ちよテラホール
- <主催>
- 厚生労働省/高知労働局
高知労働局長 古田 宏昌
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
株式会社四国銀行 人事部 健康推進室 主任 川上美紀氏
社会福祉法人高春福祉会 事務課 事務主任 長崎敬治氏
国立大学法人高知大学医学部附属病院
がん相談支援センター がん専門相談員 前田英武氏
独立行政法人労働者健康安全機構
高知産業保健総合支援センター 副所長 門脇勲氏
基調講演
~がんサバイバーの実体験や企業事例を交えて~」
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
村本氏は2009年春、頸部食道がんを発症。放射線治療により寛解したが2年後に再発。手術で食道上部の再建とともに、声帯を含む喉頭を全摘出したが、その後食道発声法を習得し、声を取り戻した。現在はその経験も踏まえ、同社の「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいる。村本氏は、どんな企業でも自社の持ち味を活かしたやりようが必ずある!とし、治療と仕事の両立支援を進める際のポイントとして「本人との対話を大切にすること」「経営者の理解・応援・率先」「周囲の社員への配慮も忘れないこと」を踏まえながら、率直な対話と信頼関係で「社員の使命感を活かす」ことが大切であるとした。
各企業・医療機関の取組
株式会社四国銀行 人事部 健康推進室 主任 川上美紀氏
明治11年創業の四国銀行は、2019年3月31日現在で110店舗(代理店を含む)を展開。「地域の金融ニーズに応え、社会の発展に貢献すること」を“企業使命”とする。そんな同行では、さまざまな両立支援の必要性を認識し、2019年4月からがん・脳卒中などの病気の治療に加え、育児・介護、不妊治療にも支援の対象を広げた。具体的には、休暇や休職制度整備の他、就業規則改定により、短時間勤務の対象要件も拡大。さらに人事部内に健康推進室を設置し、女性活躍推進委員会「Cheer!」を発足した。両立支援のツールとして「結婚・出産・育児・介護等に関するサポートBOOK」も独自に作成・公開している。川上氏は、これらの活動を通して「両立支援でスタートとなるべきは、本人が両立支援を希望するかどうか。そのため、まずは社内での制度の周知・理解促進が必要」と述べた。
社会福祉法人 高春福祉会 事務課 事務主任 長崎敬治氏
特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンターなどを運営する同法人では、高齢者の増加や労働力不足に対応するため、障害者雇用・高齢者雇用を促進したり、ノーリフトケアによる腰痛予防も進めたりするなど、働き方改善や離職防止に努めている。両立支援の体制づくりでは、スタッフの体調面の不安を見逃さないよう、相談窓口を常設する他、年2回、上司・施設長によるヒアリングも実施。現在、病気を抱えながら働くスタッフは2名おり、高齢者も多いことから、体調変化にはより念入りなチェックを行っている。長崎氏は「これらの活動により、柔軟な取組に対応できる法人に変化してきた」と実感を語り、「これからも多様な人材が働ける環境を整備していきたい」とした。
国立大学法人 高知大学医学部附属病院 がん相談支援センター がん専門相談員 地域医療連携室 ソーシャルワーカー 前田英武氏
高知大学医学部付属病院のがん相談支援センターでは、専門スタッフが両立支援に関する相談を受け付けている。前田氏は、がんの疑いがあると説明を受けた約半数の患者が離職を検討した、という調査結果や多くのがんの5年相対生存率が近年高く推移しているデータを示しながら「患者本人、企業も、“がん”という言葉のイメージだけで『仕事を諦める』という判断をしないでほしい」と語った。その上で「医療機関には正確な情報を患者や企業に伝える役割がある」とし、加えて「医師の意見書に書かれている専門的内容を実際の労務に落とし込む作業を、患者本人・企業・医療機関・両立支援コーディネーターが一緒に考えることが肝要」「医療機関で仕事や生活のことを相談できることを患者や企業の方に知っていただき、知識不足や支援を受けられることを知らないために退職することを防ぎたい」と締めくくった。
独立行政法人 労働者健康安全機構 高知産業保健総合支援センター 副所長 門脇 勲氏
高知産業保健総合支援センターでは、両立支援促進員(社会保険労務士や産業カウンセラー等)が実際に企業を訪問し、両立支援制度の導入の支援や、患者本人・企業間の調整支援を行っており、企業の規模に関わらず無料で相談に応じている。さらに同センターが行う『高知治療と仕事の両立支援宣言』企業の取組を紹介。宣言企業の事例は同センターのホームページで公開している他、宣言書・応募票も当HPからダウンロードできることを紹介、さらなる参加を呼び掛けた。