厚生労働省

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両立支援シンポジウム/セミナー

奈良 治療と仕事の両立支援セミナー

<開催日時>
2019年11月12日(火)
13:30 - 15:55
<場所>
奈良県文化会館(小ホール)
<主催>
厚生労働省
<共催>
奈良労働局
プログラム
時間
講義内容
13:30 〜 13:35
開会挨拶
労働基準部 健康安全課 課長 尾形賢一
13:35 〜 14:15
基調講演
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
14:15 〜 14:25
質疑応答
14:25 〜 14:35
休憩
14:35 〜 14:55
企業取組事例紹介①
山本松産業株式会社 専務取締役 山本玲子氏
14:55 〜 15:15
企業取組事例紹介②
株式会社積水化成品天理 事務グループ長 田所義夫氏
15:15 〜 15:35
医療機関取組事例紹介
公立大学法人奈良県立医科大学附属病院
がん相談支援センター がん専門相談員 川本たか子氏
15:35 〜 15:45
産業保健総合支援センターからのご案内
奈良産業保健総合支援センター 産業保健専門職 上坂聖美氏
15:45 〜 15:55
総括
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏

基調講演

「治療と仕事の両立支援に向けて
〜がんサバイバーの実体験や企業事例を交えて〜」

サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏

 村本氏は2009年春、頸部食道がんを発症。放射線治療により寛解したが2年後に再発。手術で食道上部の再建とともに、声帯を含む喉頭を全摘出したが、その後食道発声法を習得し、声を取り戻した。現在はその経験も踏まえ、同社の「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいる。村本氏は、どんな企業でも自社の持ち味を活かしたやりようが必ずある!とし、治療と仕事の両立支援を進める際のポイントとして「本人との対話を大切にすること」「経営者の理解・応援・率先」「周囲の社員への配慮も忘れないこと」を踏まえながら、率直な対話と信頼関係で「社員の使命感を活かす」ことが大切であるとした。

各企業・医療機関の取組

「治療と仕事の両立支援」

山本松産業株式会社 専務取締役 山本玲子氏

 寝具の製造・販売を行う同社では、3年前から健康経営に取組、その際に独自の健康方針を策定。従業員ががんと診断されたことをきっかけに両立支援の取組をスタートしたとして、実例も紹介。具体的な支援内容としては、健康診断、各種保険制度利用、時差出勤などの勤務時間の柔軟な対応、相談窓口設置の4つ。しかし、制度などの環境を整えていても、休養後に戻る場所があるのか心配との声が聞かれたことを受けて、山本氏は「不安を解消できるよう、休養中の連絡や時には家庭訪問も実施。さらに普段から従業員とのコミュニケーションを大切にしている」ことを話し、今後も本人の気持ちを優先することはもちろん、制度やルールを実行できる会社の風土づくりに力を注いでいると説明した。

「積水化成品天理の取組紹介」

株式会社積水化成品天理 事務グループ長 田所義夫氏

 発砲スチロールメーカー・積水化成品工業の関西地区における生産拠点である同社は、10数年前から治療と仕事の両立支援を含めた健康管理体制を強化。各部署から1名以上が参加する安全衛生委員会を毎月開催し、委員会の場には産業医も同席。健康診断結果の確認、メンタル不調者・残業超過者に対する面談実施等が周知されるなど、委員会が有効に機能している。その他、有給休暇やフレックスなどの勤務制度、両立支援の対応フロー等、実例も踏まえながら紹介。最後に、健康管理窓口の心構えとして「病気になった本人は必ず不安がっている。まずは不安がっている本人を落ち着かせるために“傾聴”を大事に」「本人からの質問には必ず答えよう」「相手からの要望に対して即断は禁物」とアドバイス。産業医との連携においても「産業医による面談前に、産業医では知らないその人の性格なども伝えるとよい」と述べた。

「奈良県立医科大学附属病院がん相談支援センターの取組」

公立大学法人奈良県立医科大学附属病院 がん相談支援センター がん専門相談員 川本たか子氏

 がん診療連携拠点病院の1つである同院は、院内外のがん患者や家族、企業など、さまざまな関係者の相談窓口となる「がん相談支援センター」を設置。社会保険労務士による就労相談、ハローワークと連携した出張就職相談(お仕事探し相談)を実施している他、両立支援に関する相談窓口としての情報提供も行う。平成30年からは復職支援を開始しており、事例紹介も行われた。 講演の中で川本氏は両立支援にまつわる課題として「休職・復職・就職等のあらゆるケースで、病気・治療についてどのように話せばよいかわからない人が多い」と述べ、「そうなる前に当センターへ相談してほしい」と呼び掛けた。

「奈良産業保健総合支援センターからのご案内」

奈良産業保健総合支援センター 産業保健専門職 上坂聖美氏

 産業保健総合支援センターでは、両立支援促進員(社会保険労務士や産業カウンセラー等)が実際に企業を訪問し、両立支援制度の導入の支援や、患者本人・企業間の調整支援を行っており、企業の規模に関わらず無料で相談に応じている他、ホームページやメールマガジンでも適宜情報提供を実施しており、参加者へ利用を呼びかけた。

セミナー総括

 以上の講演を終え、基調講演のスピーカーである村本氏が全体の総括を行った。村本氏は講演を振り返り、とりわけ企業の取組について「一人一人の社員を見つめることの大切さを改めて知った」と述べた。さらに「私もがんになった人間ですが、ときとしてその孤独感は大きかった」「それを払拭するためにも情報窓口となるがん相談支援センターや産保センターを活用してもらうなど、リソースを最大限活用してほしい」と述べ、最後に「今日のセミナーを大きな参考として、県内での両立支援の取組がいっそう進んでいくことを願っている」と話した。

(左から)山本松産業株式会社 専務取締役 山本玲子氏、株式会社積水化成品天理 事務グループ長 田所よしお氏、サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏、公立大学法人奈良県立医科大学附属病院 がん相談支援センター がん専門相談員 川本たか子氏、奈良産業保健総合支援センター 産業保健専門職 上坂聖美氏

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