厚生労働省

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両立支援シンポジウム/セミナー

静岡 治療と仕事の両立支援セミナー

<開催日時>
2019年11月15日(金)
13:30 - 16:10
<場所>
もくせい会館 富士ホール
<主催>
厚生労働省
<共催>
静岡労働局
プログラム
時間
講義内容
13:30 〜 13:35
開会挨拶
静岡労働局 労働基準部長 戸田剛
13:35 〜 14:20
基調講演
株式会社フジクラ健康社会研究所 代表取締役 CEO 浅野健一郎氏
14:20 〜 14:30
休憩
14:30 〜 14:50
企業取組事例紹介①
ジヤトコ株式会社 安全健康管理部 統括産業医 西賢一郎氏
14:50 〜 15:10
企業取組事例紹介②
キーパー株式会社 衛生工学衛生管理者・心理相談員 総務課長 中嶋行雄氏
15:10 〜 15:30
医療機関取組事例紹介①
静岡県立静岡がんセンター 疾病管理センター
よろず相談 主査 社会福祉士 杉山亮輔氏
15:30 〜 15:50
医療機関取組事例紹介②
浜松労災病院 治療就労両立支援部長
乳腺外科(化学療法科兼任)部長 加賀野井純一氏
15:50 〜 16:00
産業保健総合支援センターからのご案内
独立行政法人労働者健康安全機構 静岡産業保健総合支援センター
静岡産業保健総合支援センター 副所長 榊原寿治氏
16:00 〜 16:10
総括
株式会社フジクラ健康社会研究所 代表取締役 CEO 浅野健一郎氏

基調講演

「『治療と仕事の両立支援』 ~健康経営の中の働き方改革の視点から~」

株式会社フジクラ健康社会研究所 代表取締役 CEO 浅野健一郎氏

 浅野氏は、1989年に入社した藤倉電線(現・フジクラ)で長年「健康経営」に携わり、2017年12月からはCHO(Chief Health Officer)補佐に着任。2019年5月に設立したフジクラ健康社会研究所の代表取締役を兼務している。浅野氏は、劇的に変化する日本のビジネス環境において、健康経営が企業に強く求められつつあることを解説した上で、健康経営が目指すべき治療と仕事の両立支援を「疾病、障害、年齢にかかわらず、皆が誇りとやりがいを持って安心して、活き活きと働ける職場を実現すること」と定義した。さらに「最大の課題は、治療を継続したいと思っている社員が、自分の判断で会社を辞めてしまうこと」だと提起し「社員に、当社が両立支援に取り組んでいることを知ってもらうことが第一歩になる」という解決策を示した。

各企業・医療機関の取組

「取組事例紹介 ─企業において─」

ジヤトコ株式会社 安全健康管理部 統括産業医 静岡産業保健総合センター
産業保健相談員(産業医学) 西賢一郎氏

 自動車部品メーカーである同社で統括産業医を務める西氏は、産業医について、労働者の健康と就業に注目して両者の改善を図り仕事への適応を維持できるよう努める役割があるとし、そのために事業者や労働者に対して専門的な指導や助言を行うと説明。同社の両立支援体制については、メンタルヘルス不調者の職場復帰の仕組みとして構築したプログラムを治療と仕事の両立支援にも運用するなど、既存制度を柔軟に活用している。この他、病気休業の診断書が提出され、健康サポート室に相談に訪れた社員には独自に作成した「休業・休職~復職に関する手引き」を手渡し、利用できる制度などの周知に努めている。西氏は、「今注目されている多様な働き方の一つに両立支援があるが、知識不足のため現行の制度をうまく生かし切れていない現状がある」とし、「知識のある産業医・産業保健スタッフが橋渡し役になることが大切である」と語った。

「一人の人を大切に!」

キーパー株式会社 衛生工学衛生管理者・心理相談員 総務課長 中嶋行雄氏

 自動車や鉄道車両などに使われるオイルシールの開発・製造で知られる同社。中嶋氏は、総務課員として労働基準協会主催のセミナー参加をきっかけに治療と仕事の両立支援の仕組みを構築していたところ、自身もがんと診断され、両立支援を実践。この経験から休暇制度の改正、今年度は時差出勤制度の改正に着手するなどさらなる取組を推進している。「一人の人を大切に!」の理念の下、相談窓口の設置や周知の工夫(玄関に案内を掲示)を行う他、従業員が相談に訪れた際には、しっかりと話を聞く姿勢を大切にし、一人一人に合わせた両立支援を実施していると締めくくった。

「医療機関の取組について」

静岡県立静岡がんセンター 疾病管理センター よろず相談 主査 社会福祉士 杉山亮輔氏

 杉山氏は、静岡がんセンターにおける就労支援の仕組みとして、同センター内に設置されている相談窓口「よろず相談」(がん相談支援センター)の取組を紹介。「辞める前に、まず相談」してもらうべく、初診問診時、診察場面、入退院時、外来受診時などさまざまな機会を捉えてよろず相談の周知を実施。相談対応した両立支援実例もいくつか紹介した中で杉山氏は「患者・会社双方が同じ両立という目標に向かっていても、双方にさまざまな事情があり、両立できるのか否か常に葛藤している」としながらも、「仕事をすることはお金を得る目的だけではなく、社会的アイデンティティの確立に大きく寄与しているため、今後も両立を希望する患者・会社への支援をしていきたい」と語った。

「治療就労両立支援:当院での取組について」

浜松労災病院 治療就労両立支援部長 乳腺外科(化学療法科兼任)部長 加賀野井純一氏

 同院には治療就労両立支援部があり、両立支援コーディネーターも在籍。部長を務める加賀野井氏は、がん患者の33%は20歳~59歳までの就労世代であり、仕事を持ちながら通院している者は32.5万人いるなどの現状を示した上で、治療と仕事の両立支援の必要性を説明し、同院での実例を紹介。例えば、スーパーマーケットに勤務する50代女性の例では、医療機関と企業の調整役として、両立支援コーディネーターが関わることでスムーズな連携を実現。有給休暇の取得や半日勤務を活用しながら入院や通院を行い、フルタイム勤務に戻っている。加賀野井氏は、「長年勤務してきた職場との関係を途絶えさせることなく、治療に専念することができた」という女性の言葉を取り上げ、企業・医療機関の間で翻訳者のような役割を果たす両立支援コーディネーターの重要性を説いた。

「静岡産業保健総合支援センターからのご案内」

静岡産業保健総合支援センター 副所長 榊原寿治氏

 産業保健総合支援センターでは、治療と仕事の両立支援に関する支援メニューとして、産業保健関係者に対する専門的研修の実施や相談対応、両立支援促進員による個別訪問支援・個別調整支援、制度の普及啓発などを事業場規模にかかわらず、無料で行っていると紹介。榊原氏は「当センターでは相談対応のみならず、両立支援導入にかかる説明用のリーフレットも発行しているので、そうしたツールも活用してほしい」と、参加者にセンターの利用を呼び掛けた。

セミナー総括

 取組事例発表の後には、フジクラ健康社会研究所の浅野氏が再び登壇。各発表者の講演内容を受けて、取組の第一歩として「重大な疾患の診断を受けると、本人は冷静な判断能力がなくなる。そういう状態の時に行動のガイドとなるような情報が載った手引きを用意すること」「窓口となる担当者が、両立支援のことをよく知ること」が効果的であることを強調するとともに、「会社の誰かが支援を受けることで、他の従業員に負担がかかる場合もあるため、職場全体に配慮しながら取組を進めてほしい」と総括した。

(左から)キーパー株式会社 衛生工学衛生管理者・心理相談員 総務課長 中嶋行雄氏、株式会社フジクラ健康社会研究所 代表取締役 CEO 浅野健一郎氏、静岡産業保健総合支援センター 副所長 榊原寿治氏、浜松労災病院 治療就労両立支援部長 乳腺外科(化学療法科兼任)部長 加賀野井純一氏、ジヤトコ株式会社 安全健康管理部 統括産業医 静岡産業保健総合センター 産業保健相談員(産業医学) 西賢一郎氏、静岡県立静岡がんセンター 疾病管理センター 主査 社会福祉士 杉山亮輔氏

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