厚生労働省

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両立支援シンポジウム/セミナー

山口 治療と仕事の両立支援セミナー

<開催日時>
2020年2月15日(土)14:30 - 16:50
<場所>
山口県総合保健会館 2階 第1研修室
<主催>
厚生労働省/山口労働局
プログラム
時間
講義内容
14:30 〜 14:35
開会挨拶
山口労働局長 労働基準部健康安全課長 末廣高明
14:35 〜 15:35
基調講演
中国労災病院 治療就労両立支援センター 所長 豊田章宏氏
15:35 〜 15:45
休憩
15:45 〜 16:05
産業医の取組事例
山口県産業医会 幹事 鍋島篤典氏
16:05 〜 16:25
医療機関の取組事例
山口労災病院 MSW 國弘行正氏
16:25 〜 16:45
相談機関の取組事例
山口産業保健総合支援センター
両立支援促進員・社会保険労務士 古川舞子氏
16:45 〜 16:50
事例発表総括
中国労災病院 治療就労両立支援センター 所長 豊田章宏氏

基調講演

「中国労災病院における治療と仕事の両立支援の取組について」

中国労災病院 治療就労両立支援センター 所長 豊田章宏氏

 豊田氏は、両立支援をワーク・ライフ・バランスの一環としながらも、医療情報やまとまった休み・職場の理解が必要であるという特殊性があること、また医療・職場・患者の生活背景など困りごとはさまざまであるため、それぞれの落とし所を見つけることが大切であるとし、企業・医療機関との橋渡しや患者の伴走者の役割を「両立支援コーディネーター」が担うと説明。職場が取り組むべき環境整備として、労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口の明確化と担当者の配置、働き方を規制すべきものと規制になじまないものに分けて整理することがあるが、そもそも働き方を職場で議論できる環境とマネジメントが重要であり、さらには労働者自身の自己管理能力も必要であると説明した。また、復職の可否判断や復職支援プラン作成時における医療機関(主治医)との相談・意見の調整においては、産業医は企業・医療機関双方の相談・意見に掛け違いが起らないよう翻訳者としての役割を担うのが望ましいと語った。

各企業・医療機関の取組

「事業場取組事例(産業医の事例)」

山口県産業医会 幹事 鍋島篤典氏

 鍋島氏は産業医という自身の立場から、工場、運送業、営業などさまざまな業種における両立支援の事例をいくつか紹介した。その上で、両立支援の目的・方法について「事業場も労働者も含め、誰もが納得のできる状態を目指すことが第一」「事業場・労務者の双方が望んでいることの優先順位を付け、適度に折り合いをつけることが大切」とし、「事業場は主治医と診療情報提供書・電話連絡などを通じて情報共有を図り、必要に応じて家族にもサポートをお願いしたほうがよい」と話した。また両立支援の実状として「患者本人・職場・病院の関係構築においては各者、自分の不得手な分野のことをよく分からないまま進めてしまうケースが多い」などの課題を指摘。地域の産保センターの活用も周知するとともに、「翻訳者としてそれぞれの意見を聞き、それを各者へ伝え整理する」ことのできる産業医・産業保健スタッフの重要性を説いた。

「医療機関からの両立支援」

山口労災病院 MSW 國弘行正氏

 同院は、臨床研究を行う勤労者医療総合センターを持ち、センター内には地域医療連携室・医療福祉相談室、そして両立支援コーディネーターのいる治療就労両立支援部が開設されている。ここでは、両立支援コーディネーターが、窓口相談、職場復帰に関する事業者訪問を実施していると紹介。実際に同院での両立支援事例をもとに、産業医の役割を整理した上で、「医療機関は当事者の詳しい業務内容までは把握できないため、その点を産業医が補填してくれることで的確な治療計画が立てられる」と、産業医と医療機関の連携によるメリットを語った。さらに「主治医と産業医が連携することで、医療機関からの医学的情報が正確に伝わり、より的確な職場や業務上の配慮も可能になる」という効果も挙げた。

「産業保健総合支援センターからのご案内」

山口産業保健総合支援センター 両立支援促進員・社会保険労務士 古川舞子氏

 研修・セミナー、講師紹介、図書・機器の貸出、メンタルヘルス対策支援などの相談・支援を、事業場の規模に関係なく、全て無料で実施している山口産業保健総合支援センター。古川氏は同センターの両立支援に関する取組として、セミナー・情報提供、相談対応、個別訪問支援(事業場に出向いて両立支援の取組に対する助言・支援)、個別調整支援(両立支援プラン作成などの個別具体的な支援)などの各支援内容などについて紹介。実際の相談対応事例を示して「両立支援(復職を含む)に当たっては、ガイドラインに示してある様式(勤務情報提供書、主治医意見書)を活用することや、休暇・勤務制度などの導入を検討することが有効」とし、「本人の体調の変化など、状況に応じてプランを変更して対応できるような仕組みづくりや職場風土の醸成が必要」と両立支援のポイントを明示した上で、センターの一層の活用を呼び掛けた。

事例発表総括

 最後に、基調講演を行った豊田氏が全体総括を行った。産業医・医療機関・産保センターそれぞれの立場から語られた三つの講演のポイントを整理し、改めて事業者に向け「あくまでも両立支援においては本人の意思が第一であること」「事業場内での落としどころを見つけることが大事」「事業場側の準備・体制づくりにおいては、地域の産保センターの活用を」と呼び掛け、セミナーを締めくくった。

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