厚生労働省

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両立支援の取組事例

従業員の安全・健康がなによりも優先
上司、家族、産業医と社内産業保健スタッフの連携で支援を

ニッポン高度紙工業株式会社

管理部安全管理課 課長
岩村 和典
安全管理課 係長
小﨑 陽子

会社名
ニッポン高度紙工業株式会社
所在地
高知県高知市
事業内容
製造業
設立
1941年
従業員数
420名
(2020年12月末現在)
平均年齢
43歳/男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
5名

家電や自動車などに使われるアルミ電解コンデンサやリチウム電池に使用される、高度な技術が求められる絶縁紙の最大手であるニッポン高度紙工業。高知県で第1号の「両立支援宣言」を発した企業でもあります。
トップ自らが「安全・健康はすべてに優先する」と従業員ファーストの方針を打ち出し、両立支援においても本人、家族、会社、産業医等、社外支援機関の連携でサポート、安心して働ける職場づくりを進めています。

ニッポン高度紙工業の基本方針「安全・安心はすべてに優先する」は、どのような意味を持つのでしょうか?

弊社はよい物を作り出し、事業を継続していくためには従業員の安全・健康が確保されていなければならないと考えています。
つまり、品質や生産性よりも「安全・健康」が優先され、会社が従業員の「安全・健康」を最優先しているという風土が、個人の幸せと企業価値を高めていくのだと思います。

その「安全・健康」を確保するために、どのようなことに取り組まれていますか?

まず健康診断は100%の従業員が受けています。自身の「健康」に興味を持ってもらうこと、がんや生活習慣病が他人事ではなく自分事として捉えることが大切だと思っています。
全従業員を対象とした生活習慣改善のための集団健康学習を毎年開催しており、外部保健機関による特定保健指導の受診支援、ストレスチェックなども行っています。 特にメンタルヘルスについては、メンタルヘルス推進部会によるセルフケア研修、職場の環境をチェックする「こころの安全パトロール」などを行い、風通しの良い風土醸成を心がけています。
また、スマートフォンの健康支援アプリを導入し、いつでも過去の健康診断のデータや改善方法が分かるようにしています。
さらに参加費を会社が負担して従業員の15%ほど「龍馬マラソン」に参加していたり、社内クラブ活動なども健康増進のために支援しています。
有給休暇の取得率は2019年度は95%でした。


全従業員を対象に、外部講師等による集団健康学習を各事業所で実施。

健康支援アプリを導入。経年の健康診断の結果がグラフで見られるなど、自分の健康状態を簡単に確認できる。

両立支援の取組について伺います。実際に両立支援された経験はありますか?

工場勤務の男性社員ががんと診断され、手術後約2か月間の入院・自宅療養を経て職場に復帰しました。 この方の場合は偶然にも主治医と産業医が同じ病院でしたので、連携がスムーズで、毎月産業医と弊社の産業保健スタッフが面談を繰り返しながら、就業上の配慮(夜勤の免除)や職場の異動配置を実施しました。通院に関しては、半日有給休暇やフレックス制度を使用して対応しました。
その後がんの再発が見つかったのですが、入院治療後、再度職場に復帰できました。本人と話し合い、抗がん剤治療終了のタイミングに合わせて出身地の事業所に転勤し、現在は元気に働いています。転勤時には、事業所の産業医同士が連携をして病院を繋ぐなどのサポートをしています。

もう1例、工場勤務の男性がうつと診断され、3か月の休業を経て職場復帰しました。
この時は、主治医・産業医・産業保健スタッフ・上司などが連携して復帰プランを作成し、職場にも事前説明した後に半日勤務から始めることにしました。
職場復帰後、半年ほどして再度具合が悪くなったため休業し、1年半ほど休みました。休業中も本人の希望により、産業保健スタッフとの面談を続けました。復帰後は毎月、産業保健スタッフや産業医が本人と面談し、メンタルヘルス推進委員も様子を見続け、現在は元気に働いています。

今後、さらに取り組もうとされていることがあれば教えてください

従業員の高年齢化によって、有所見率が増加傾向にあります。健康に気を使い、自分事として食生活の改善や運動習慣を定着させ、病気にならない体づくり、未然防止が重要だと考えています。
事業を継続していくためには「風通しの良い職場づくり」「元気で働き続ける体づくり」「病気の未然防止・早期発見」「ケガや病気をしないこと」が大切で、すぐには効果が見えないものですが、健康経営活動が形骸化しないように継続していきたいと思います。

取組事例一覧