両立支援の取組事例
キャリア採用した社員が入社初日から病気療養に
産業保健総合支援センターとの連携で両立支援を整える
ジーニアルライト株式会社
- 会社名
- ジーニアルライト株式会社
- 所在地
- 静岡県浜松市
- 事業内容
- 製造業
- 設立
- 2006年11月15日
- 従業員数
- 15名
(2020年12月1日現在) - 平均年齢
- 43.3歳/男女比 男性3:女性1
- 産業保健スタッフ
-
3名
※内訳:産業医1名(非常勤嘱託)、事務2名
15年前に光技術を使った医療機器・化学機器等のベンチャー企業として、社長1人で立ち上げたジーニアルライト。現在は浜松市を拠点に総勢23名で成長を続けています。
中途採用した社員が入社初日から病気療養が必要となり、最初は手探りで取組始めましたが、最終的には産業保健総合支援センター、産業医との連携で進めた両立支援を紹介します。
当時50代後半の男性を技術職としてキャリア採用しました。単身赴任でしたが、出社初日に入社手続きをしていると自力で歩けないくらいの体調不良となり、その日は車で家まで送り届けました。
4日ほど休み、次に奥様と出社されたときには右半身が動かず、字も書くことのできない状態でした。そのまま病院に受診したところ脳梗塞と診断され、即入院となりました。
話ができる状態まで回復し電話で状況を確認すると、本人は退院できたら翌日からでも働きたいと強く希望し、出社を強行しようとする雰囲気が感じられたため、直接常務(社会保険労務士資格取得者)が見舞い、状況を把握するとともに、ご家族とゆっくり治療に専念するように伝えました。
その後退院し自宅療養をしていましたが、20日ほど経つと突然出社して来てとても驚きました。その日も呼吸が荒く、歩くこともままならない様子でとても働けるような状態ではなく、病院に受診するように説得しました。
本人は、やっと決まった就職で、自分が休むことで迷惑をかけているのではないか、早く働きたいという気持ちが強かったようです。
会社としては、病気を理由に退職させる考えはなく、しっかりとした復職支援を進めるために両立支援に取り組むこととなりました。
まずは情報収集です。それまでも従業員の健康診断の結果について医師からの意見聴取のため、静岡産業保健総合支援センター(以下「産保センター」)を利用していましたので、そちらに相談しました。
すると、両立支援促進員で特定社会保険労務士の方を派遣してくれました。促進員の方はすぐに来社し、メールでも両立支援の情報を提供してくれるとともに、病院への同行もしてもらえました。
また、労働者健康安全機構の作成した動画「産業保健活動 総合支援事業編」も大変参考になりました。
その後、産業医とも契約しました。
具体的には本人、主治医、促進員と会社で面談を行い、出社日を設定。1日1~2時間のお試し出勤2日を経て、午前勤務を2週間続け、その後は1日7時間45分の勤務(残業不可)としました。もちろん、通院を優先としました。
社内の担当者で1週間単位の復帰プランを作成し、毎週金曜日には総務との面談、月に一度産業医との面談も行いました。
そして治療と仕事を両立することができ、ご本人もこれまでの経験を活かして業務に前向きに取り組んでいただいておりましたが、その後ご家族の心配もあり、残念ながら退職されました。
時間単位の有給休暇、時短勤務、在宅勤務、試し出勤などに加え、GLTD(団体長期障害所得補償保険)へ加入しています。GLTDは補償が出るまでに90日間の待期期間があることから、失効した有給休暇を90日間積み立てる安心積立休暇があります。
健康診断に関しては、婦人科がん検診も100%会社の補助で受診可能です。二次検診の受診率は95%となっています。
改めて「仕事と治療の両立」ということが、どのようなものなのか理解が深まりました。
小さな事業所でも産保センターを活用することによって、産業保健活動の課題を解決できることを知りましたので、もしも次回があるとすれば初動から活用したいと思います。また、産業医と提携したことで、毎月の巡回訪問やメール相談ができる環境づくりができました。
この経験の後、社員2名が両立支援コーディネーターの養成研修を修了しました。
会社の願いは、退職することなく治療を受けながら就業できる環境を作り、従業員の家族にも安心を届けることです。
(写真左より) 管理部 山田 明子氏 代表取締役社長 下北 良氏 管理部 人事・総務グループ グループ長 小久保 伊都子氏 |
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