厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

「十分に療養に専念できる制度」と「治療と仕事の両立ができる柔軟な制度」を通して、
従業員の治療、就業との両立まで、深く真剣に関わることを宣言

三菱ケミカル株式会社

左から
三菱ケミカル株式会社 総務人事本部 健康支援部長
三菱ケミカル健康保険組合 常務理事
道﨑 隆氏
三菱ケミカル株式会社 総務人事本部 健康支援部 保健師
山本 香織氏
株式会社三菱ケミカルホールディングス 人事室
三菱ケミカル株式会社 総務人事本部 全社統括産業医
真鍋 憲幸氏

会社名
三菱ケミカル株式会社
所在地
東京都千代田区
事業内容
製造業(総合化学メーカー)
設立
2017年4月
従業員数
14,182名(2021年12月現在) 
平均年齢
43.1歳 /男女比 男性8.5:女性1.5
産業保健スタッフ
116名

持続可能な社会を築くため、幅広い分野において新しい価値を創造し、総合的な ソリューションを提供する総合化学会社。経営の基本方針の一つとして、人を活かす経営である「KAITEKI 健康経営」を掲げています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

治療と仕事の両立を行っている社内の産業保健スタッフから、社内制度の拡充・環境整備、風土づくりの必要性を学んだことがきっかけです。現在は治療や両立に必要となる社内外の情報をポータルサイトに集約していますが、社内制度を一つ一つ調べることに負担感があったことを教えてもらいました。
治療と仕事の両立は、両立する人にとってのみ必要な支援ということではなく、両立したい人を受け入れる職場の成長にも繋がる取組であることを実感する機会となり、現在の取組へ生かされています。

従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

社長メッセージを社内ポータルサイトで発信しています。
治療と仕事の両立支援は、当事者にとってのみ有益な取組ということではなく、支える職場にとっても業務の見直しの機会、多様性や様々な価値観に気づく機会となり、治療と仕事の両立支援が根づいた先にある企業文化の醸成が狙いであることをメッセージとして伝えています。


具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

社内制度は、有給休暇の分割取得(半日単位、時間単位)、積立有給休暇(最大40日まで積み立て可、半日単位で取得可)、私傷病事由の短時間・短日数勤務制度、試験出社、フレックス勤務、テレワーク制度(首都圏を中心にサテライトオフィスの利用が可能)の利用が可能です。
各拠点ごとの健康相談窓口は社内ポータルサイトおよび拠点ごとに周知しています。
また、「治療と仕事の両立支援ハンドブック」を作成し、活用できる制度、手続きの流れ(各種申請様式紹介含む)、関係者の役割、活用例をモデルケース、個人情報保護について示しています。
短時間・短日数勤務を利用して両立する場合は、主治医からの情報提供を受け、関係者(本人・上司・人事・健康支援)で両立支援計画を立案、定期的に見直しの場を持ちながら、両立を支援します。






実際に両立支援された具体的事例はありますか?

■がん治療との両立ケース
通院日は短日数勤務を利用することで、有給休暇の残日数を気にせず両立ができるようになりました。
■脳血管疾患との両立ケース
短時間勤務と合理的配慮、また職場や家族の支援もあり、急性期治療後のリハビリ通院を続けながら、管理者としての役割を遂行できました。
■メンタルヘルス不調との両立ケース
社内復帰支援施設(リワーク)で生活リズムの確立と再発予防対策を十分に講じたのちに復職しています。復職準備段階から上司とも連携し、再休業に至らないよう丁寧な支援を行っています。
■リハビリ(整形外科疾患)との両立ケース
下肢骨折後のリハビリ通院・時差出勤が可能であれば両立を希望するケースで、一時的に時短勤務を適用し、ラッシュ時の混雑を回避した通勤とリハビリ通院を可能としました。

研修等による意識啓発がございましたらお聞かせください。

現在、治療と仕事の両立がしやすい組織風土づくりに注力しています。民間プロジェクトの「がんアライ宣言・がんアライアワード2021」へのエントリーを機に、社内で「治療と仕事の両立支援」の取組紹介や、労使によるPRを進めています。
また、オンラインによる「がんサロン」を毎月開催しています。がんサロンには、がんの種類、病気の経過の異なる方々が参加していますが、「がん」という共通の経験を通して、お互い「分かり合える」「労わりあえる」「ほっとできる」場になっています。参加者からは「定期的に気持ちを吐露できる場があり安心できる」「それぞれ不安を抱えながら、それでも前向きに活躍していることを実感できた」といった声が聞かれています。
今後はピアサポートとしての機能に加えて、社内に向けて、「がん経験のシェア活動」を展開していくことも模索中です。


今後の展望・課題をお聞かせください。

「病気になっても当たり前に働ける」ことが、多様な背景の人々の活躍を推進する取組の一つとして、従業員に浸透することを目指しています。そのために、支援体制の強化(各拠点での支援が円滑に進められるよう人事・健康支援向けの教育)、仕組みづくり(事例を集め横展開)、組織風土づくり(経営トップの発信、組合との協働、課長職等への教育、従業員同士の対話の場づくり、等)を進めていきたいと考えています。


取組事例一覧