厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

保健師が常駐する健康管理室を開設し、
本人と職場の懸け橋となる体制作り

株式会社みすずコーポレーション

総務部 健康管理室 保健師 錦織直子氏
総務部 総務部長 金澤和子氏(左下)
管理統括本部 副本部長 小林誠氏(右下)
総務部 健康管理室 保健師 篠塚佳子氏(右上)

会社名
株式会社みすずコーポレーション
所在地
長野県長野市
事業内容
味付け油揚・凍り豆腐の製造
設立
1949年4月
従業員数
925名(2021年12月現在)
平均年齢
41.2歳/男性5:女性5
産業保健スタッフ
2名

1902年の創業以来、大豆加工食品の製造と販売を通じて「より便利で、よりおいしく、より安心な食品を提供する」姿勢を貫いてまいりました。「おいしいは、やさしい。」のコーポレートキャッチフレーズのもと、皆様の心に微笑が浮かぶ食生活を提案していきたいと考えています。2019年7月に健康経営宣言し、病気の治療と仕事の両立支援に取り組んでいます。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

以前から病気療養後は本人の体調に合わせた働き方が可能な社風ではありましたが、メンタルヘルス不調や身体疾患への対応は明確にルール化されたものはありませんでした。当社のキーワードである“安心”と“安全”から出てきた「社員の健康はとても大切である。そのために、社員が安心して安全に働くことができるよう会社はサポートすることが必要になる」との経営者の思いから、2016年6月に保健師が常駐する健康管理室を開設、復職プログラムを作成し、本人と職場の懸け橋になって、仕事をする上で病気が増悪することがないよう、体制を整えてきました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

2019年7月に健康経営宣言を行いました。その中の健康経営体系図に具体的な取組が6項目あります。その1つ「健康管理のサポート」の一環として病気の治療と仕事の両立支援の施策をかかげ、取り組んでいます。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

相談窓口として2名の保健師が健康管理室におります。両立しやすい休暇制度・勤務制度の整備としては、ご本人の体調に合わせ短時間から段階的な就労が可能です。また、常駐の保健師が両立支援コーディネーターの研修を受講・修了し支援を行っています。対応手順として、本人からの診断書の提出や上司からの連絡により両立支援がスタートします。休職中は保健師が定期的に本人と連絡をとり、治療や回復状況などを確認します。焦ることなく、療養や治療に専念してもらえるようお話ししています。復職については、主治医から「復職可能」と明記された診断書を提出してもらい、本人に弊社産業医と面談してもらいます。その後、産業医、職場、人事、産業保健スタッフが共通認識で支援できるようミーティングを設け、就業上の措置や支援方法を検討しています。疾患や休職期間に応じて、弊社保健師が主治医の診察に同行し、直接お話しを伺う場合もあります。精神疾患で休職されている場合は、復職への準備期間としてリワーク支援利用を推奨しております。リワーク支援利用における費用は会社が全額補助しています。リワーク支援を利用することで復職後の再休職率が低下しています。復職前には原則としてリハビリ勤務(試し出勤)を行います。勤務時間は心身への疲労を考慮し段階的に増やしていくことにしています。リハビリ勤務中は本人に日々の様子(睡眠時間や体調、気分など)を記録してもらい、2週間に1度は保健師と面談し、症状が増悪していないか、きちんと出勤できているか、仕事をする上で不安なことを抱えてはいないかなど確認しています。復職後は産業医・保健師などの産業保健スタッフとの面談を継続的に行っています。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

製造現場で働く30代男性が生体腎移植を行い復職した例です。本人とは休職する以前から病状や治療について定期的にお話しを伺っていました。本人の症状が落ち着き復職の意思を受け、主治医へ本人と共に同行受診し、病状や今後の治療方針、会社として配慮すべき内容について直接確認すると共に、主治医の見解を弊社様式に記載いただきました。その内容は「段階的な復職が望ましい」「時間外労働・交替勤務・休日出勤不可」の制限が必要とのことでした。また、主治医の意見書を産業医に確認してもらい、本人と面談を行いました。その後、本人・上司・人事・保健師でミーティングを行い、主治医・産業医の見解をもとに復職プランを作成しました。半日から勤務を開始し、2か月後に6時間、4か月後に1日と産業医・保健師による定期的な面談を継続し、症状が増悪することがないか確認しながら段階的に増やしていきました。また、交替勤務が可能になってからも最初は2交替から開始し、徐々に4交替へと移行しました。定期通院に関しては、3科受診のため通院時間に合わせた勤務時間にするなどの配慮を行っています。現在は、内服薬の副作用による新たな疾患の発症もあり手術予定のため再度休職を予定していますので、今後も職場も本人も困らない復職ができるよう、情報共有を大切にして、上司(職場)・人事・産業保健スタッフで復職を支援していきたいと考えています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

健康管理室が設置されて6年になり、治療と仕事の両立支援の関わりが年々増えていますが、社内周知が課題になっています。“職場も本人も困らない復職”を目指して、関わりを増やしていきたいと思います。また、「予防に勝る治療なし」を健康管理室の施策の柱としています。有所見率が増加傾向にあり、若くして生活習慣病を発症する方も多くなってきていますので、元気で生き生きと働けるよう疾病予防にも力を入れて取り組んでいきたいと思います。

取組事例一覧