厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

傷病、育児、介護等を抱える方を含め、すべての従業員がワークライフバランスを取れるよう環境整備

UDトラックス株式会社

人事部 労務担当マネージャー 齋藤 貴子 氏

会社名
UDトラックス株式会社
所在地
埼玉県上尾市大字壱丁目1番地
事業内容
トラックの開発・生産・輸出・販売・整備、自動車用部品の製造・販売
設立
1935年12月
従業員数
6,200名(2022年6月現在)※派遣社員を含まず
平均年齢
42.4歳 /男女比 男性9.2:女性0.8
産業保健スタッフ
4名(産業医2名、看護師2名)

1935年12月創立のUDトラックスは世界60か国以上で先進的な輸送ソリューションを提供する日本の商用車メーカーです。在宅勤務制度やコアタイムの無いフレックス勤務、出産・育児休暇など、仕事とプライベートの両立が可能となる制度を導入し、一人ひとりのライフスタイルに応じた多様な働き方を支援しています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

復職後に再発して退職となることを恐れ、休職期間満了まで職場復帰を先延ばしにするケースが発生していたため、1回限りだった同一傷病による休職を複数回認めるよう改定しました。また、通院等の用事がコアタイムにかかってしまい、結果的に休暇を使わざるを得ないケースが多く発生していたため、フレックスタイム制度のコアタイムを廃止するなど、両立支援に対する制度改定を行ってきました。

貴事業場において、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

当社の行動規範(お互いを尊重する、差別しない、安全で健康的な職場)に則り、傷病、育児、介護等を抱える方を含めたすべての従業員がワークライフバランスを取れるような環境整備に努めています。また、各種人事施策のアナウンスの際には、「健康・安全を最優先にしている」ことを社内掲示板等で周知しています。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

「両立支援」に特化したものではありませんが、傷病時に利用できる制度は以下の通りです。

<相談窓口>
労働者からの相談は、所属長、各部門のHRビジネスパートナー、産業医、人事コンタクトセンターが窓口となります。
上司等に知られたくない場合にはHRビジネスパートナーやコンタクトセンターへ直接相談することができます。人事担当者は、相談者了承のうえで関係者と連携します。産業医による心身の健康相談も可能です。

<休暇・休職制度>
●年次有給休暇:終日・半日単位(時間単位の導入を検討中)
●積立休暇:年休の未使用分を最大30日まで積み立て、傷病等に利用できます。
●欠勤・休職:傷病のためやむを得ず欠勤する場合、所定の手続きにより病気欠勤(正社員は通算6ヵ月、有期契約社員は通算1ヵ月まで)+病気休職(正社員は勤続年数に応じて通算で最長2年6ヵ月まで、有期契約社員は通算で最長3ヵ月まで)を認めています。所定の期間内であれば、再発等による複数回の取得も可能です。
欠勤・休職中は無給となりますが、正社員については傷病手当金2年+会社からの休職手当として傷手と同額を6ヵ月支給し、生活をサポートしています。(有期契約社員も対象ですが、支給期間は異なります。)

<勤務制度>
●在宅勤務(日数や場所の制限なし)、フレックス制度(コアタイムなし)の拡充により、プライベートと仕事を両立できるような環境整備を行っています。
●所定の手続きを取れば、傷病を理由とした時短勤務を認めています。
●休職後の職場復帰に際しては、本人や周囲の理解のもと円滑に復帰できるよう、主治医・産業医・所属長・人事が連携し、短時間勤務等(本人の状況に合わせて必要な期間、必要な時間を短縮)の措置を講じています。
●状況により、必要と判断した場合は配置転換、就業制限、職種転換等を行います。

<支援の申出があった場合の対応>
●支援の必要がある場合、労働者が所属長へ申し出て、所属長・HRビジネスパートナーから産業医へ相談します。(HRビジネスパートナーは適宜、人事労務担当と対応方法や手続きを確認)
●休職、復職に関しては、所属長・HRビジネスパートナー・労務担当が協議して判断しています。

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

【事例1】人工透析で定期的な通院が必要な従業員に対し、短時間勤務(フレックスまたは早退による勤怠控除)を認め、通院できるようにしました。
【事例2】復職後も従前の業務ができない従業員に、対応可能な業務への配置転換または短時間勤務を認め、就業を継続できるようにしました。
【事例3】腹膜透析が必要な従業員、人工肛門の装着交換が必要な従業員に対し、勤務時間中に社内休憩施設で実施できるよう便宜を図りました。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がございましたらお聞かせください。

<意識啓発・周知>
●会社として、行動規範や就業規則の周知に努めています。また、管理者に対しては、日常の活動によりHRビジネスパートナーが各種労務課題に対する窓口であることを周知しています。
●勤務制度や休暇制度等の改定にあたっては、社内イントラネット、掲示板その他での周知や全管理職へのメールからカスケードを行い、周知徹底を図っています。また、大きな変更を伴う場合には、マネージャートレーニング等の実施により理解浸透を図っています。
●人事全般に関する不明点は、コンタクトセンターを設置して全従業員からの問い合わせに対応しています。

<労使の協力>
●定期的(半年に1回)に、労使による中央安全衛生委員会を開催し、適宜、問題の共有や環境整備に関する意見交換を行っています。休職者の状況(人数)は毎回共有し、対策を論議しています。
●安全衛生に関わる事例の共有に際しては、個人が特定されないよう配慮しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

新規で入社する従業員(新卒・中途)へ、各種相談窓口のPRを検討中です。また、メンタル不全の増加に伴い、復職プログラム、職場の同僚など周囲に対するケア等の対応が課題となっています。

取組事例一覧