厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

登録派遣スタッフについても自社従業員同様の支援の仕組を構築

株式会社HNS

管理統括 小倉 崇司 氏 山下 哲二 氏

会社名
株式会社HNS
所在地
大阪府大阪市中央区南本町四丁目3番16-1002
事業内容
システム開発
設立
2011年11月
従業員数
43名(令和5年8月現在)
平均年齢
51歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
0名

2011年創業の株式会社HNSは技術者を派遣してシステム開発をサポートするSES(システムエンジニアリングサービス)を展開している企業です。社内に医療や介護の知識を持つ人がいるなど健康経営を進める上でとても充実した環境があり、コーピングという先端のメンタルヘルスに取り組み、社内だけでなく、社外に向けて事業化しようとしています。その健康経営の取組が評価され、「健康経営優良法人2022ブライト500」に認定されています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

会社設立当初からIT業界では就業困難層と言われる50代、60代のIT経験者や20代のIT未経験者などの転職、就業支援事業を展開してきました。
事業の中核である汎用機に対応できる技術者は50代60代のシニア世代が多く、本人の健康状態や介護など様々な状況を抱えながら就業しており、若手は未経験の環境の中でメンタル的にも不安を抱えながらの就業などあり、健康経営に取り組み、その一環として「治療と仕事の両立支援」に取り組むことになりました。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

専門の相談窓口はありませんが、会社設立当初から生活面や健康面での様々な相談を受けることで気軽に相談できる仕組みが機能したと感じています。
月に一度設けている面談の機会で様々な相談(健康面・介護・顧客側との連携・パートナーとの連携など)を聞いて対応策を一緒に考え、健康状況に問題がある場合は(本人同意を得て)医療機関に同行することもあります。
従業員、スタッフと強固な関係性を築き、現在の状況や業務内容・組織の背景を理解した上で当人に合った対応をアレンジしています。
本人の了承の上で医療機関の紹介や情報交換なども実施しています。
休暇制度や勤務制度は整備していませんが、事例ごとに個々の働き方をアレンジし、そのつど派遣先と調整しています。
個々の状況に合った働き方ができる委託先を探して派遣先を転換するといった事例もあります。

また、「コーピングによるリフレッシュ講座」をメンタル分野での予防措置として取り入れています。コーピングがコミュニケーションの一助となり、普段顔を合わす機会の少ない派遣社員の変化に早く気づくことができるようになりました。

貴事業場の治療と仕事の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

メンタルヘルス不調から心療内科へ通院することになった当社から派遣している社員に対して、本人から同意書を受領した上で通院していた医療機関に同行して医師と連携しながら派遣先企業へ業務内容・就業環境などの調整を行うことで休職期間無しで通常勤務へ戻ることができました。

両立支援に取り組まれたことによって生じた良い効果についてお聞かせください。

IT業界では就業困難層と言われる50代、60代の就業支援事業を展開していく上では、派遣社員個々の様々な状況を理解した上で派遣先企業を選定する難しさがありましたが、個々事例に対応できたことによりハローワークからの採用も会社設立後延べ人数にして150人を超えることができました。
そしてそれらの取組によって健康経営のブライト500を取得することもできて、今では社外発信の機会が増えたことで様々な情報を得る事ができるので次の事業展開が考えやすくなりました。

今後の展望・課題をお聞かせください。

弊社の様な中小企業では専任の相談窓口を置くことは難しいので、業務知識の理解や医療・介護・行政などとの連携方法を理解したりと多数の経験を必要とするため、事業継承に沿っての人材育成に取り組んでいます。
またメンタルヘルスケアにおける予防対策として、「コーピングによるリフレッシュ講座」を外部企業様にも活用いただける様に取り組んでおります。
取組による様々なご縁の中でワーケーションにおける「治療と仕事の両立支援」を地方行政と連携できないかなど新しい取組にもチャレンジできたらと考えています。

取組事例一覧