厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

職場と情報を共有し、職場復帰計画や治療と仕事の両立計画の作成を支援

国立病院機構四国がんセンター

患者・家族総合支援室 室長 福島美幸氏

会社名
国立病院機構四国がんセンター
所在地
愛媛県松山市
事業内容
病院
設立
2004年4月(独立行政法人化)
従業員数
731名
平均年齢
約40歳 /男女比 男性2:女性8

平成16年4月1日 「独立行政法人国立病院機構四国がんセンター」として発足。四国地方の「がん」に関する中心的施設として、ナショナルセンターとの連携の下に高度で専門的な医療、臨床研究、教育研修及び情報発信の機能を備えた施設です。私たちは患者さんの立場にたって人格を尊重し、信頼と安全に心がけた最良のがん医療を理念に掲げて努力しています。

患者さんの仕事と治療の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

がん専門病院であり、医療ソーシャルワーカーががん相談支援センターに配置されているため、医療費の相談から積極的に仕事について確認するように心掛けて支援をしていましたが、主治医の意見書や診断書に患者に必要な配慮が盛り込まれるまでの支援は少なく、主治医の協力もままならない状況でした。2013年度に病院併設の施設として患者・家族総合支援センターを設立し、医療だけでなく患者の生活を支援する観点から患者サロンやセミナー、イベントの開催、さらにはウィッグや乳がん患者向け製品の展示、試着への対応も行っております。開設当初より厚生労働省の「長期にわたる治療等が必要な疾病をもつ求職者に対する就職支援モデル事業」にも参加し、ハローワーク松山から週1回出張相談をウィッグ展示・相談室で開催してきました。

院内の両立支援体制をお聞かせください。

病院のがん相談支援センターが相談窓口となり、両立支援コーディネーターである医療ソーシャルワーカーが中心となって相談対応を行っています。各ケースごと、入院や外来で相談を受け、後方支援の看護師や各科の看護師、主治医と連携をとり復職時の配慮などの指導(診察時の同席)を盛り込んだ意見書の発行を行っています。

企業や産業保健スタッフ等との連携方法についてお聞かせください。

患者さんが会社に両立支援を受けたい意思があることを申し出る際に、厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を患者と会社用に各々1部ずつ渡し患者が会社に説明しやすいよう工夫をしています。がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカー(両立支援コーディネーター)が患者と相談し、診断書や意見書の発行、両立支援指導を行う際に、企業や産業保健スタッフ等に当院の窓口を知らせ、いつでも支援の協力をする姿勢がある旨を伝える手紙と可能であれば復帰プランを郵送していただきたい旨も加えて返送用封筒を同封し患者へ渡しています。

産業保健総合支援センターや近隣の医療機関との連携についてお聞かせください。

毎月2回愛媛産業保健総合支援センターが当院に出張就労支援相談に来ており、院内外の患者の相談調整を行っています。

患者さんに院内の両立支援の取組をどのように周知されていますか?

初診日の会計時に、事務員から両立支援を当院で行っている旨の声がけと両立支援カードを配布しています。企業に提出する診断書の作成申込時に、事務員から相談支援センターを紹介し相談につなげています。
がん相談支援センターの相談窓口をオープンカウンターとし、患者が声をかけやすい環境を整え、がん相談支援センターのカウンター用PHSを設置し、外来医師や看護師達がカウンターへ連絡しやすい体制を整えています。
入院前から入退院サポートセンターで両立支援の窓口を紹介し、連携しています。入院時に医療ソーシャルワーカーが退院支援の一環として両立支援も行っていることを周知しつつ相談対応を行い、外来時に継続して支援を行っています。
外来各診療科診察デスク上に両立支援の卓上窓口案内を設置し、医師が両立支援の話を切り出しやすい仕掛けを作っています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

産業保健総合支援センターの両立支援促進員と企業の担当者、病院の両立支援コーディネーターが患者を交えて職場復帰に向けて相談できるシステムが実現できれば、更に患者さん・職場両者にとってより最善の方法を共に探ることができ、理解ある職場づくりや職場復帰ができるのではないかと考えています。また、一度復帰した後の継続フォローは定期的にアプローチが必要であるため、療養・就労両立支援指導料に関係なく関わりを持てるよう患者さんや職場との良好な関係づくりを行っていきたいと思っています。

取組事例一覧