厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

“予約不要でいつでも”、“患者さんご本人に限らず誰でも”
両立支援の相談ができる環境づくり

青森県立中央病院

医療連携部 社会福祉士 倉内大樹氏

会社名
青森県立中央病院
所在地
青森県青森市
事業内容
病院
設立
1981年9月
従業員数
1,543名(令和3年3月31日現在)

1981年設立の青森県立中央病院は県民の健康を支え、安全で高度な医療を提供し、患者さん中心の心あたたかな病院を目指しています。長期療養者支援専門の就職支援ナビゲーターと出張相談実施協定を締結し、がん等の長期療養者に対する就労支援を実施しています。

患者さんの仕事と治療の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

当院は都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受けていることから、平成28年8月から青森公共職業安定所に配置された長期療養者支援専門の就職支援ナビゲーターとの出張相談実施協定を締結し、がん等の長期療養者に対する就労支援を実施しています。その後、産業保健総合支援センターと治療と仕事の両立支援事業実施協定を締結して両立支援の出張相談窓口を設置したことが両立支援に取り組むきっかけとなりました。

院内の両立支援体制をお聞かせください。

当院の相談窓口は医療連携部に設置し、相談支援グループの相談員が対応しています。相談員には、がんや難病、精神疾患に関わる看護師や社会福祉士、精神保健福祉士のスタッフが8名おり、6名が両立支援コーディネーター研修を修了しています。両立支援にあたり、当部署の相談員だけでなく、担当医や看護師、事務担当者、また専門および認定看護師等の多職種での連携を図りたいと考えています。

企業や産業保健スタッフ等との連携方法についてお聞かせください。

企業とは基本的に電話のやり取りが一番多いですが、可能であれば直接勤務先へ出向いたり、オンラインでの面談を患者さん本人と一緒に行うといったことも、ご本人の体調などに合わせて行っています。

産業保健総合支援センターや近隣の医療機関との連携についてお聞かせください。

当院では、ハローワークや産業保健総合支援センターによる出張相談を毎週水曜日と定め、希望する患者さんには、外部担当者と当院スタッフを交えた三者で面談を実施しています。その他適宜ハローワークの就労ナビゲーターや難病患者就職サポーター、産業保健総合支援センターの両立支援促進員と連絡をとり、(患者さんから同意を得て)患者さんの支援状況の共有や支援にあたり助言を受けるなど連携および活用を図っています。

患者さんに院内の両立支援の取組をどのように周知されていますか?

院内の両立支援を周知する方法として、チラシやポスターの設置、がん患者さんには青森県作成のがん療養冊子を、難病の方には青森県作成の難病患者サポートブックを活用し、情報提供しています。また、院内研修会などの際にも周知、広報活動をしています。

両立支援の実例・実績をお聞かせください。

療養・就労両立支援指導料を算定した件数は、令和2年度はがん患者1例、令和3年度は難病患者2例でした。
今年度の就労に関する相談は全158件で、このうちハローワークと産業保健総合支援センターの出張相談は10件でした。(令和4年1月現在)

今後の展望・課題をお聞かせください。

患者さんから、「病気を告知されて仕事を辞めた」「病院で仕事の相談ができると思わなかった」と言われることがあります。それらを「仕事を続けたいから相談に来た」と言っていただけるよう周知活動を引き続き行いたいと思います。また、院内や企業でも両立支援が浸透しているかといえば、まだまだと感じています。
今後の取組の一つに院内に向けて、多職種での協働を図るため誰がどのタイミングで関わる必要があるのかを明示するフローチャートを鋭意作成中です。

取組事例一覧